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健康促進とパフォーマンス向上のための正しい混合

サプリメントの製造における混合プロセスの役割

ビタミンC、B、マグネシウム – 適切に混合すれば1日中爽快

人気の高い発泡錠を朝食に加えて、お手軽に元気に1日をスタート。昨今、多様な栄養補助食品が市販されており、その健康維持効果と、小さいながらパフォーマンスを向上させる効果に信頼を寄せる利用者が増えています。栄養補助食品は食品でも医薬品でもなく、散剤、錠剤、オイル、カプセル等の製造は極めて困難を要します。

ドイツ食品連盟(登記社団)によると、2018[1]年度のドイツにおける栄養補助食品支出額は、年14億3,900万ユーロ、製品総数にして2億2,500個に上ったということです。 単純に計算すると、年間1人当たりほぼ3箱に相当します。 販売量が最も多かったのはビタミンCとマルチビタミン製剤、ミネラル成分のマグネシウムとカルシウムです。

多少異なる観点から見た数値ですが、2019年に関するStatista社による調査でも、次のように明らかな増加結果が得られました。消費者が購買したビタミンとミネラル成分は、7,500万個(2018年比300万増)、総額11億ユーロ(前年比2億4,000万ユーロ増)。 同社の調査でもマグネシウムが1位です。 また、ビタミンB群の人気が高まっています。 売上高に重要な貢献をしているのは、マグネシウムの他にもビタミンC剤があります。 ドイツ全人口の3分の2以上が、既に1度は栄養補助食品を摂取したことがあるか、将来摂取することが十分に考えられるとしています。

この傾向の要因は現代社会にあります。この社会で私たちは、何年にもわたり次の考えが重要だと教えられ、往々にして次の世代に伝授しています。「他人の称賛を享受できるのは、成果をはっきり示す者であり、 次にどのような困難が待ち受けていても、微笑みと『必ずできる -Yes, we can.』という自信を持って悠々と立ち向かう者である」 人々はこうした考えを既に小中学校に意識し始め、定年退職した後にも長らく抱き続きます。 それは、ドイツ語圏で「ベストエイジャー」と呼ばれる経済的、社会的、体力的に成熟した世代でも、何よりも元気と健康を維持することをまず望むためです。

ただし、精神活動やスポーツ活動を継続できるのは、栄養不足を防ぎ、病原菌の侵入への耐性のある人だけです。 健康は幸福と満足の基盤です。 このことは、現在のコロナウイルスの世界的大流行によって一層明白になりました。

「市場調査研究所YouGovが1,000名を超える18歳以上の人を対象に実施したアンケートによると、全回答者の61%が全身の健康増進、36%が風邪の予防、39%が身体機能の最適化、33%が身体的フィットネスの増強を望んでいると回答しました」。[2]

健康体であっても最高のパフォーマンスを発揮するには、さらに多くのエネルギーが必要です。 一般的には食事のバランスがとれていれば十分ですが、必ずしもそうとは限らないため、発泡錠、水溶性散剤、スティック剤、錠剤、カプセル剤などの栄養補助食品を摂取する人が増えています。

食事の傾向に起因する売上高の上昇

さらに、「食事」というキーワードから、栄養補助食品の売上高上昇のもう一つの理由が見てきます。 私たちの社会は多様であるだけではなく、食事も同じように多様です。 「雑食」は、多くの食事形態の一つに過ぎません。 人は通例、フレキシタリアン、ベジタリアン、ビーガン等として生きることを、自らが承知の上で決心します。 2020年、ドイツでは既に113万人のビーガンがいると考えられ、その数は上昇傾向にあります。 そして、自らの考えで特定の食事様式を選ぶ人は、体内に不足するビタミンや重要栄養素を、意図的に栄養補助食品で補います。

人工的に栄養素を最適化する特殊な方法に、ボディハッキングまたはバイオハッキングと呼ばれるものがあります。 必ずしも侵襲的な方法ではありません。 ホディハッカーは、自身のパフォーマンスに効果のある、すなわち頭脳明瞭、思考力向上、機転の利く会話、スポーツにおける機敏性に働く栄養素を意識的に摂取します。 いずれもパフォーマンス向上を目的とします。

栄養補助食品の効果に対する消費者の要求も当然高まってきています。 携帯しやすく、いつでもどこでも簡単に摂取できるタイプの剤形が望まれ、 複合製剤の人気が高く、また、製品の有効期限も重要視される要素の一つです。 そのため往々にして、特定の有効成分をコーティングしてから、他の散剤と混合することが必要です。 また、味も服用しやすいものでなければなりません。 バルク、錠剤、小袋入りのいずれでも、有効成分が常に均等に行きわたる必要があります。

厳格に定められた医薬品との境界

ドイツ政府の定める栄養補助食品法(NemV)の第1条では、次の栄養補助食品が食品として定められています。

  1. 毎日の食事を補完するもの(目的)、
  2. 栄養素等の成分のエキスが単独で、または合成によって滋養作用または整理作用を持つもの(合成)、
  3. 1回量に分けられた剤形、特にカプセル剤、トローチ剤、錠剤、丸剤、その他同様の剤形、散剤パウチ、液剤アンプル、滴下ノズル付き小瓶等液剤や散剤を少量服用できる剤形で販売されるもの(剤形)。

したがって栄養補助食品とは、ビタミン、ミネラル成分、またはアミノ酸、食物繊維、二次代謝産物等の成分で通常の食事を補完するための食品ということです。 栄養補助食品には、栄養生理学的有効成分が濃縮状態で1回分含まれています。

医薬品と区別するのは必ずしも容易ではありません。 栄養補助食品には、薬理学的特性があってはならないことが、ドイツ医薬品法(AMG)第2条の医薬品の定義で定められているほか、消費者に薬理作用があるような心証を持たせてはならないことになっています。

通常の食事で摂取する食品との区別も難しいことがあります。 基本法第2条による「食品」の定義によると、食品は滋養を目的とするすべての成分または製品であり、栄養補助食品は通常の食事を補完することを目的とするものとされています。

医薬品ガイドラインに従う製造

消費者が服用しやすい栄養補助食品の製造技術に係る要件は、GMP/FDAによる技術規定に従って食品および医薬品を製造することです。

栄養補助食品の市場には新たな包装形態と含有成分が増え続けており、多くの製造業者が委託業者に業務を委託するようになっています。 それは、委託業者が高い製造要件を熟知している上、要求される高い品質を維持しながら製造する能力を有するためです。

栄養補助食品製造業者は委託に際して、委託業者の製造適応性と、新たな課題をいとわない姿勢から恩恵を受けています。 剤形が多様になると、特殊で投資を要することもある製造包装工程が必要となります。

ただし販売高が一定量に達すると、例えば自社ブランドの栄養補助食品の65%を独自で製造するHerbalife Nutrition社のように、製造業者が製造を委託せず自社で行い、既存のノウハウと製造工程知識を社内で拡充するようになります。

厳しい監視によるハイクオリティ

製薬業界と同様、製品は100%追跡可能でなければならないため、通例、品質保証は既に物品入荷時に始まります。 Herbalife Nutrition社やNutriChem社等、多数の製造業者は多岐にわたる製造工程段階で品質を監視しています。 監視では、混合機への装入、検体採取を含めた混合工程、精確に再現可能な混合比、さらには定期的な包装点検、全工程中の製品接触面に対する厳しい清浄度分析に焦点が置かれます。

NutriChem社は、微量元素、ビタミン類、ミネラル成分を含む散剤として栄養補助食品を製造しており、消費者はこの散剤を水と混合して飲料として服用できます。 100%自社製です。

「当社では、化学的、物理的、微生物的工程からなる複数段階の管理手順による製品品質検査を行っています。定期的に社内監査と社外監査を行うとともに、社員の教育訓練を継続的に実施することで、非常に高い製品品質を達成し維持しています」。NutriChem Diät + Pharma GmbH社のOpex(事業経費)責任者Alexander Voitl氏は、これが大きな課題であると述べています。

そのため、均質性と、散剤製品の場合は特にそれに伴う非常に高い品質を達成する土台として、NutriChem社に限らず、まず初めに安定した再現可能な混合工程に基礎が置かれます。 さらに、製品が均一に流れることで包装ラインの効率が高まることから、再現性の高い均質な混合は、後続プロセスにもプラスに作用します。

ロットが大きい場合の精度とコスト面での利点

以上のように、栄養補助食品製造時の混合機には、可能な限り均質に混合するという特に高い要求が課せられます。

この混合物の要件に適合するには、いわゆる精密混合機を投入するほかありません。 精密混合機は、固定型の混合槽と可動型のミキシングツールで構成されます。 無作為混合物を生成するためには、機内空間全体に成分が分散しなければなりません。 こうすることで、実践できる最善の、技術的に理想的な混合物が得られます。 さらに、栄養補助食品製造に使用する混合機は、迅速に動作しなければならない一方、原材料の粒子の形状と大きさの双方を変えてはいけません。 この要件によって、導入が検討される混合システムのオプションが非常に狭くなりますが、現状ではタテ型のシステムが特に適していることが認められています。

この構造(図参照)の持つ高い効率の混合機能は、最小量の錠剤圧縮加工時にAnticaking Agentと呼ばれる固形防止剤を添加する際に明らかです。 この成分は、特に軽量で凝固しやすく、非常に分散しにくいのが特徴です。 その一方、その本来の固形防止作用は、圧縮応力や剪断応力がかかるとすぐに失われます。 このような作用をすべて維持しながら最小量を適切に分散できることがamixon社製の混合機が誇る能力で、ロットが大きくてもまったく問題ありません。

栄養補助食品製造業者にとって、ロットが大きいことは極めて有利です。 各成分の調製と計量にかかるコストが大幅に低下します。 混合時間の終了前に検体を採取して評価を行うだけで済むため、 たいていは何千~何万ユーロもの節約が可能です。

上の図の精密混合機は、一度に7 m³の原料を混合できます。 最終的に理想的な無作為混合物が出来上がります。興味深いことに、装入量がわずか800 Lであろうと、2000 Lであろうと、公称装入量の7000 Lまで最大限に装入していようと関係なく、最善の混合物が得られます。

HM 7000

前述のVoitl氏は、混合機に係る要件リストに、次の一つを重要な側面として加えています。「成分の中には非常に損傷しやすいものもあるため、当社では混合工程で温度の変動を抑えることを重要視しています」。

amixon社製混合機については、多くの適用例で、ロットが大きい場合でも、毎回消費エネルギーが最小限であることが実証されています。 製品には実熱量も記録されず、含塵率の顕著な上昇も認められません。

この含塵率は、完成品に高い溶解性と分散性を期待する消費者にとって特に重要です。 それだけではなく、高性能包装機による小袋や袋への充填時にも重要な役割を担います。

混合温度が混合工程で上昇しないことが、全世界への流通過程で栄養補助食品を確実に保管するために不可欠です。 混合物が温かい状態で包装されると凝集してしまい、混合物が微小凝集物によって不要に染色されることがあります。

そのため、製品の安定性を獲得することは、品質面からも、製造業者にとって非常に大きな意味があります。 例えばHerbalife Nutrition社では、社内の1グループが、栄養補助食品の使用と輸送時のさまざまな環境条件における製品の安定性を管理しています。 剤形や包装を新しくするときは、製造に引き渡す前に専用の安定性チャンバ試験を実施して適性を確認しています。

適応性を左右する清浄技術

 

医薬品は処方が変わることが多いことと、規則が厳しいため、栄養補助食品製品の混合機は短時間で有効性が確認できて、清浄しやすいものでなければなりません。

この点に関連して、Voitl氏は混合機選択の実情について次のように言及しています。「当社では混合機を投入する前に、品質試験とバリデーション試験を課して、確実に問題なく合格しなければならないことになっています。省スペースのamixonタテ型二軸混合機は、すべての試験に合格しています」。

この品質保証の一環で、混合機の据付けと機能が保証されています。 バリデーションではさらに、規定された規格に対する混合工程とクリーニング工程の適合性が検証されます。 混合機がこの品質保証試験に合格しなければ、規則に従い製造には投入されません。

精密混合機のウェット洗浄については、例えば、混合槽の上からと側面からクリーニングヘッドを定期的に挿入します。 挿入したらミキシングツールを回転させて、製品の接触面全面をフラッシュ洗浄します。 洗浄水は、混合機の底部最下位部分から排水されます。

ステンレス鋼の熱容量は、水の熱容量のわずか11%であるため、加温した洗浄水で洗浄すると、混合機は非常に素早く加熱されます。 そのため洗浄後の乾燥時間が短く済みます。 通例、クリーニングに洗浄剤は不要です。

強い色素や香料を処理した場合のみ、多段階にわたるウェット洗浄を行う必要が生じることがあります。 多段階洗浄は、プレクリーニング(湿潤)、泡立て、リンスからなります。 同様に、液体を粉末に超精密混合し、その結果生じた不要な粘着物を除去しなければならないときにも、多段階洗浄が必要です。 良好な管理下では、洗浄と乾燥は1時間で終わります。

食品加工会社の中には、フラッシングロットを1、2回途中で入れて、計画的に乾燥洗浄を行っているところもあります。 こうしたフラッシングロットは、配合が適合すれば洗浄に使用後も資源として改めて利用できるように、適切に包装されています。

この点でも、栄養補助食品では混合原料それぞれがどれほど貴重であるかが明らかです。 したがって、製造工程では混合機のもう一つ別の特徴、すなわち残留原料排出率が決定的な意味を持ちます。 amixon社製のタテ型混合機の場合、混合原料を7000 L装入した場合の残留量は最大0.5 L、すなわち0.007%です。

なぜ、この0.007%が重要なのでしょう。 これは、混合機の排出量が1グラムでも増えれば、その分販売量が増え、廃棄せずに済むからです。 混合槽内の残留量が少ないほど、洗浄工程も容易かつ迅速で、汚染可能性も低く、ロットの安定性が向上します。

優れた工程効率を得るために重要なのは、こういった細かい条件です。小さな定数が栄養補助食品の製造コストに最終的に影響を与えるのです。 すなわち、準備時間と洗浄時間ははっきりと計画可能で短時間で済み、廃棄製品の量がほとんどなければ、すべてのことを考慮しても、栄養補助食品製造業者の利益増につながります。

背景情報/製品情報

タテ型混合機の動作原理

垂直に設置された2つのヘリカルミキシングツールが、同じ方向に回転するようになっており、回転すると混合槽に回転が行きわたります。 処方に含まれる成分を、混合機の上方から混合槽に装入または吸入します。 50~60回転後、理想的な混合物が生成されます。 ミキシングツールの回転数に応じて、1回の混合時間は2~5分で済みます。 次に、デッドスペースなく閉鎖可能な底部排出口パネルを開くと、混合物が劣化なく排出されます。

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ここで起こる推進流は「三次元シフト」と呼ばれています。 ミキシングツールによって原料が周辺に向かって外側に押しやられ、次に重力によって中央部に向かい、ミキシングツールの波に従い下方に流れます。 同時にミキシングツールアームによって、混合物が放射状に分散します。

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[1] BLL AK NEM ドイツにおける栄養補助食品: 2018年度全市場統計

[2] 2019年ドイツにおけるビタミン・ミネラル成分市場、Statista社